学校教育のデジタル化のイロハ

学校教育(主に小中学校)のデジタル化について、備忘録的に記録しています。

ハ:学校のデジタル化に反対する意見もある?

GIGAスクール構想への批判

 現在、国策として進められているGIGAスクール構想ですが、「GiGAスクール 批判」などで検索をしてみると様々な反対意見などが出てきます。

 多くは、導入時の経緯に関するものが多いように思われますが、教育効果や健康への影響に関するものも見られます。

 

ICT教育の課題

 GIGAスクール構想は、導入の経緯やコロナ禍での前倒しなど、様々な個別事情や現場の負担があったと思われますので、それは一旦置くとして、より広い意味での学校教育のデジタル化についての課題を見ると、例えば、ある記事では、以下のような視点があげられていました。

教育分野におけるICTの課題とデメリットは3つの視点に分けられます。
ICT 教育の課題・デメリット【1】器機などのハードやWi-Fiなどの通信設備
ICT 教育の課題・デメリット【2】教員のスキル
ICT 教育の課題・デメリット【3】生徒への弊害

classpad.net

 

 課題1の環境面は、これからさらに整備が必要な部分と思います。

 課題2の教員のスキルは、一人一台端末を最大限有効員活用するために、必要な事項です。国際調査などでも、日本の教師のICT活用の状況が遅れているされています。

 課題3が、実質的な反対意見と思われますが、こどもたちの家庭状況などで格差が生じないようにする取組や、効果的なデジタルの活用方法や学習効果が高い分野などについての調査研究などが、今後さらに進められることが重要なのだろうと思います。

www.nikkei.com

 

ロ:老朽化したGIGA端末の更新はどうなる?

GIGA端末の整備と更新の状況

 コロナ禍のGIGAスクール構想で、小中学校の1人1台端末が前倒しで整備されましたが、これらの端末は古くなっていきますので、ずっと使えるわけではありません。早いところでは、令和6年度(2024年度)から端末の更新時期を迎える自治体もあります。

 GIGAスクール構想で整備された端末が使用できる最終年度について、文科省で調査が行われて公表されているようなのですが、原典が見つけられませんでしたので、関係の記事から引用します。

GIGAスクール構想で配備した1人1台端末(国費補助分)が使用できる最終年度は、「令和5年度中」0.4%、「令和6年度中」8.0%、「令和7年度中」51.7%、「令和8年度中」22.4%、「令和9年度以降」10.8%、「その他」6.6%。調査対象は1,712自治体で、60.1%にあたる約1,035自治体が2025年度末までに更新をしなければならない状況が明らかとなった。

reseed.resemom.jp

(記事を見ると2022年8月時点の調査結果が、2023年3月30日に公表されているようなのですが、、どなたかご存知でしたら教えてください・・。)

 

令和6年度の概算要求の状況

 このような状況を踏まえ、文科省の令和6年度の概算要求では、1人1台端末の更新費用として148億円が計上されています。以下、文科省HPにある概算要求の資料からの抜粋です。

(1)1人1台端末の着実な更新  14,776 百万円(新規)
 全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現
するため、令和2~3年度に「1 人 1 台端末」と高速通信ネットワークを集中
的に整備し、GIGAスクール構想を推進。学校現場では1人1台端末の利活
用が進み、効果が実感されつつある一方、利活用が進むにつれて、故障端末の
増加、バッテリーの耐用年数が迫るなど、早い自治体では令和6年度中の更新
を要する。
 このため、GIGA スクール構想第2期を念頭に、今後、3~4 年程度をかけて
端末を計画的に更新するとともに、端末の故障時等においても子供たちの学び
を止めない観点から、予備機の整備もあわせて進める。
※国私立学校の学習者用端末や障害のある児童生徒のための入出力支援装置も
別途要求。

https://www.mext.go.jp/content/20230828-mxt_kouhou02-000031628_5.pdf

 

 関係の報道お参考まで載せておきます。

project.nikkeibp.co.jp

 

 更新の状況などは、途中経過なので、引き続き見ていきたいと思います。

イ:いつから学校のデジタル化が始まったの?

GIGAスクール構想(2020年前後)

 2019年12月に、児童生徒1人1台端末・高速大容量の通信ネットワークの整備を2023年度までに一体的に整備する「GIGAスクール構想」が、文部科学省から提唱されました。この計画は、2020年のコロナ禍での臨時休校への対応のために加速化し、目標は2020年度と3年前倒しされ、各自治体において学校のICT環境整備が急速に進められました。2021年3月の時点では、ほぼすべての学校でGIGA端末の整備がされました。

 以上が、最近の状況ですが、そもそもいつ頃から学校にコンピューターが導入されたのかなどを少し調べてみました。

 

学校教育での情報教育の導入

 学校教育で情報教育を扱うようになったのは、昭和40年代後半に高等学校で情報処理教育が行われるようになったことが始まりとされています。

 その後、平成元年(1989年)告示の学習指導要領では、中学校技術・家庭科において、選択領域として「情報基礎」が新設され、中学校・高等学校段階で、社会科、公民科、数学、理科など関連する各教科で情報に関する内容が取り入れられるとともに、各教科の指導において教育機器を活用することとされました。

 また、平成2年(1990年)7月には、情報教育の在り方、学習指導要領で示された情報教育の内容、情報手段の活用、コンピュータ等の条件整備の在り方、特殊教育における情報教育、教員研修の在り方などについて解説した「情報教育に関する手引」が、文部省から刊行されました。 (2000年頃までにはほぼ全ての学校にコンピュータ教室が設置されたと言われています。)

 さらに、平成10年(1998年)に告示された学習指導要領では、中学校技術・家庭科で「情報とコンピュータ」が必修化され、高等学校では普通教科「情報」を新設し、必修とするなどの改訂がされました。中学校の「技術・家庭」や高校の「情報」で、情報教育を扱うという形が、ここで確立したことになります。
 平成14年6月には、情報活用能力の育成の基本的考え方、各学校段階・各教科等との関わりなどの記述を充実するなど、情報活用能力の育成という視点に重点を置いて新「情報教育に関する手引」(情報教育の実践と学校の情報化)が刊行されました。

 「IT革命」が流行語大賞となったのが2000年でしたが、社会の変化とともに、教育内容も変化してきたことがわかります。

 

 なお、学校(校務)でのコンピューターの導入の時期は、よくわからなかったのですが、遅くとも80年代には、学校でのコンピューターの導入は開始されていたようです。(自分の経験からも80年代には、確実に中学校ではパソコンが使われていました。)