学校教育のデジタル化のイロハ

学校教育(主に小中学校)のデジタル化について、備忘録的に記録しています。

ト:動画を授業で使ってもいいの?

YouTube動画を補助教材として利用できる?

 YouTubeなどの動画サイトには、児童生徒の学習に利用できる動画が多数掲載されています。英語の検定試験などの対策で、動画サイトをご覧になられた経験のある方も多いのではないかと思います。

 小中学校等の授業は、文科省の検定済みの教科書を使用することとされていますが(学校教育法第34条第1項)、教科書は主たる教材という位置付けですので、その授業における補助教材という扱いで、動画サイトなどの動画を利用することは、基本的には可能です。昔から視聴覚室などで、映像を使った授業は行われていると思いますが、デジタル動画も同じ考え方だと思えばわかりやすいかと思います。

 

助教材の利用は教育委員会の許可が必要?

 授業で補助教材が使えるより直接的な根拠ですが、学校教育法で、学校では、「教科書以外の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる」(第34条第4項)とされています。このような教材を補助教材と呼びますが、市販・自作を問わず、教育効果の高いものが利用可能であることが、文科省からの通知「学校における補助教材の適切な取扱いについて」でも示されています。

http://jela1970.jp/m2016/45.pdf

文科省のサイトで探せなかったので、日本教育法学会のリンクを掲載しています。

 

 また、学校における補助教材の使用については、あらかじめ、教育委員会に届け出させ、又は教育委員会の承認を受けさせることとする定めを設けることとされており(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第33条第2項)、各教育委員会の定めるルールを踏まえることが必要になります。

 

著作権にも注意が必要

 学校の教室授業での動画の使用については、著作権者の許諾なく、無償で行うことができきることとされています(著作権法第35条第1項)。ただし、著作権者の権利を不当に侵害するような場合は除きます。

 一方、オンライン授業で動画を使用する場合には、基本的には有償となります(著作権法第35条第2項)。この辺は、制度改正があったり複雑ですので、文化庁のホームページで「学校における教育活動と著作権(令和5年度改定版)」などをご確認いただくとよろしいかと思います。

www.bunka.go.jp

 

(参考)

◯学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)
第三十四条 小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。
④ 教科用図書及び第二項に規定する教材以外の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。

 

著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)
 (学校その他の教育機関における複製等)
第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 前項の規定により公衆送信を行う場合には、同項の教育機関を設置する者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
3 前項の規定は、公表された著作物について、第一項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合において、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信を行うときには、適用しない。